事例研究
2025/12/02
理事長一族の不和による法人分裂の危機を克服した事例
【相談概要】
創業者である理事長が親族らに法人の「社員」(株式会社でいう株主)や役員(理事・監事)の地位を名目的に与え、「持分」(株式会社でいう株式)を持たせていたところ、離婚等を契機に関係がこじれ、親族らが社員・役員として権利を主張しはじめた結果、事業に重大な支障が生じた。
【解決方法】
まずは理事長権限で社員総会・理事会を招集し、対立する親族らの役員としての職務及び報酬を停止して、法人運営を正常化することが急務でした。より根本的な社員の地位については、時間をかけて粘り強く交渉し、最終的には法人が持分を相当価額で買い取るなどして、社員・役員の地位を任意に退いてもらうことにより、親族らとの関係を清算することに成功しました。
【考察】
前提として、ここでいう「社員」とは、雇用している従業員のことではなく、株式会社でいう株主に該当します。
似たようなトラブルは通常の株式会社等でもしばしば生じますが、医療法人のガバナンスの最大の特徴ともいえるのは、社員の地位の重さは出資額の大小に関わりなく平等であり、社員総会における議決権は例外なく1人1票となることです。したがって、対立当事者がいかに名目的な社員に過ぎなくても、多数派を押さえられると法人の支配権・経営権を失うことにもなりかねません。平時から社員構成・役員構成を適切に設計しておくことが、極めて重要です。
(弁護士 山岸泰洋)
※実際の解決事例を素材としつつ、特定を避けるために編集・抽象化しております。
